中華そば屋 三吉  2006年7月30日で閉店らしいです。
2006年 7月30日

携帯に「三吉さん、今日で閉店するらしいよ」そんな短いメールが届きました。
そっ そんな・・。

「中華そば屋 三吉」と言えば、無添加のラーメンで名古屋のラーメン界をズバババッと華麗に泳ぎ、
人々の瞼を3ミリ程大きく見開かせた大御所と聞いています。連日、すごい行列の出来るお店だったんだとか。
その泳ぎを教わったお弟子さんが、「こくや」や「華壱」などのお店らしいですよ。
そんな凄いお店が閉店なんて・・・。

「絶対に行かなきゃいけないお店と思いつつ、そのうちに行けるからまだいいかな」と
のん気にフラフラしていた自分を大いに呪い、飛んでいく風船の紐をジャンピングキャッチする気持ちで行ってきました。


あまり経験の無いバスレーンのある道路を、ドキドキしながら走っていくと大きくて明るい看板が。
うーわ、 思っていたよりも大きいなと思いつつ駐車場をジャリジャリ歩き、大きなガラスの扉の前に立ちます。
お店の中には、行列用に仕切りがあって、待合スペースが作られています。
地面はそこだけ砂利になっていて、ちょっとしたお庭みたいでいいですよね。
看板が無かったらカフェっぽいですよね。

いやぁ、こんな素敵な設計・・お金がかかっていそうだなぁと、再度ガラスの扉を見ます。
入り方がよく分からないけど、「押す」って書いてあるから押してみよう・・・とグッと押してみると
二枚のでかいガラスがぷわーーーーん。男前な開き具合にニヤリ。

店内には、L字にカウンターがずらっと。広くても落ち着ける、明るくていい雰囲気でした。
厨房には常連さんと談笑しているとても渋いご主人と奥様が。中華そば(塩)を注文しました。
思っていたお店とは全然違うなぁ、イメージ的には立派な木のテーブルで、その表面がしっとりしているような、
クマの首の剥製が置いてありそうな、年季の入ったお店だとばかり思っていたなぁ、とキョロキョロしていると、
お待ちかねの主役が登場。
具の全てが美味しそう。

「あ、こくやだ・・・そうか、こくやのお師匠さんだもんね、こくやの兄さんも渋かったな」と思いつつ、
レンゲスプーンを取って、スープをずずず・・・うわ・・・。どうしよう・・・美味しい(ノ´∀`)
もっと早く来るべきだった・・ もう今日で終わりなんだよね・・・え?本当に?と動揺し始める私の脳みそ。

いやいや、しょうがないじゃないかと我に返り、麺をずーるずる。
ふ・・ ふわー。 細く、ふんわりした麺。この麺に包まれて眠ったら、どれだけ気持ちがいいことだろう。
指の隙間にこの麺を挟んで、ぶわーって・・・。あぁ いいな。

この塩のスパッと効いたスープがまた美味しい。
巨大な三角錐の美味しい塩に、上から熱いスープをトロトロかける・・・その流れ落ちた旨いものって感じです。
←こんな感じ

体になんの抵抗も無く入ってくる塩味。少し濃いめの塩加減ですが、どこか爽快でパワーがありますよ。
海がこんな塩分のスープだったら、魚になるのも悪くないな。

そんな気持ちが落ち着くと、無心で食べ進みます。ふわふわの麺が無くなり、ゴマが舞うと、
赤い輪っかが一つ、迷子のようにプカプカ。
おや、君は唐辛子君ではないか、なるほど君があの爽快感だったんだね。
そう思いつつ、気のすむまでスープを飲んで、ごちそうさまでした。

すると、大きなガラス戸をぷわーんとさせて、「こんばんはー」と入店してくる常連夫婦。
にこやかに迎える奥様が「今日でおしまいなんですよ」と笑顔で一言。
「そんなーどうして!、ショックだわー」と話す夫婦の眉毛は、揃って大きくナナメに傾き、
私もナナメに「ご馳走様でした」とお辞儀して、綺麗なお店を出ました。


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