2007年9月8日 「シッコ sicko」 ※ネタバレありんす。 TOHOシネマズ名古屋ベイシティ 「これから何の映画を見に行くんですか?」そう笑顔でドライヤーを振る美容師に、私は素直に「シッコです」と言うと、 固まった笑顔が3秒後には本物の笑顔になり、「あ、聞いたことあります!」の一言にホッ。 あまり宣伝していないですもんね、尿の事だと思われても仕方がありません。 「シッコ (sicko)」とは、「病人」「狂人」「変人」などを揶揄するスラングなんだそうです。 「いってらっしゃい」と見送られ、軽くなった髪を撫でながらベイシティに向かいました。 シッコは、映画界のいたずらっ子(問題児?)的な位置にいるマイケル・ムーア監督のドキュメンタリーです。 前作は9・11がテーマでしたが、今回は大国アメリカの医療保険制度についてガッチリやりますよ! なんでもアメリカには国民保険がなく、個人的に保険に入ろうにも、とても厳しい審査が。 家計も関係してるんでしょうが、現在では医療保険未加入者が約5,000万人に達しているそう。 今回は、その保険未加入者ではなく「無事保険に入れた幸せな人々」のドキュメンタリーです。 大好きな神戸ドーナツ(シナモン)を頬張りながら、上映中の注意アニメを。たーかーのーつーめー。(笑 あ、始まったわ もぐも・・・ぐ・・・ ひっ ひーーーっ(汗 映画が始まると、出るわ出るわ、悲惨な体験談。 ま・・まさか。そんな・・・。 「救急車に乗るのに、事前に保険会社に届けないと保険料が出ない」とか、 「治療を断った医師に、保険会社からボーナス的なものが出る」とか・・・。 あらゆる手段で保険金を払わず、膨大な利益を上げる保険会社に、泣き、途方にくれる患者。 あんなに条件の多い保険にやっと入れたのに?この人たち、死んじゃうよ・・・(実際、死んでます)。 ひどい・・ひどすぎる。 そして、やはり根本は金と政治家。彼らを可愛い言葉で表すならば「うんこちゃん」です。 人を殺して儲かる戦争が出来るのに、人を助けて儲かる仕組みをうんこちゃんは考え付かないの? 作品中では「酷いアメリカ」の対比に、フランスやカナダ、キューバの人道的で優遇された保険制度を紹介し 善悪のスポットを強めています。たしかに医療保険だけでみればアメリカ最悪最低なんですが、 どうせならフランスの高い税金とかも突っ込んで欲しかったなぁ。影の部分もあるはずですもんね。 でも、そんな影もアメリカの濃すぎる影に比べれば薄く感じてしまうもの。 そんな他国の幸せそうな患者を、スクリーンの前のアメリカ人はどんな思いで見つめたんだろうな(´・ω・`)、 マイケル・ムーアを丸呑みして「アメリカ最悪!」と言うのは気が早いかも知れませんが、 高額の治療費を払えなくなった患者をタクシーに乗せて、下町の病院前に捨てるという行為には寒気が。 助け合いの精神が医療の基本じゃないの?優しくするプロじゃないの?(´;ω;`)ウッ… もし、映画の最後に「日本も来年3月からアメリカ方式を取り入れるよ〜ん。」なんて字幕が出たら 帰り道にゴミ箱に入って泣きますよ。それくらい嫌。 今回のドキュメンタリーは、前作よりも映画っぽくて、少々長いのですがかなり満足。 何度も涙が頬をつたいましたし、ほんのり毒の効いたギャグにも苦笑いです。 家の地盤が傾いてるよ!って、のほほんとしてるお父さんに知らせるムーアはいい子なんですよね。 どれだけ傾いているかを説明し、みんなで地盤を工事しよう!と言えるムーア監督の次回作に大いに期待です。 |