2006年 3月 6日 「あおげば尊し」
名古屋シネマテーク


3月は観たい映画が多いなぁと息を切らせて、シネマテークに急ぎます。
行きなれた映画館のはずなのに、時間が無い時に限って、一瞬どこにビルがあるのか戸惑う自分に
あぁ!馬鹿馬鹿と地団駄踏みたくなりますが、そんな時間もありません。

なんとか間に合って、メガネのレンズを拭きつつ上映を待ちます。
今回の映画は直木賞作家 重松清さんの小説「あおげば尊し」が原作なのだとか。

簡単なストーリーは・・
末期ガンの父親(加藤武)を、自宅に迎えた光一(テリー伊藤)。
妻(薬師丸ひろ子)と母(麻生美代子)とで、最期を看取ることにしたのだ。
頑固で厳しい教師だった父を見舞う客は誰もいない。
小学校の教壇にたつ光一は、その姿を不思議な思いで見つめる。
彼のクラスに、死に興味を示す子供がいた。
生と死のリアリティを伝えることが出来ずに悩む光一は、父の姿を子供たちに見せようと決心する。
床に伏すやつれた姿は子供たちには衝撃的だろうが、しわだらけの力ない手にこもる温かみは伝わるように思えた。
そして最後の授業が始まった。

はい、シネマテークの紹介文を転載してみました。いやー分りやすいですよね。(オイオイ)
生と死を感動的に描いて、泣かせるんだろうなと思いつつ観たわけなんですが、
作中の小学生の生意気さにイライラしつつも、誰かに何かを教えると言う事、
教えてもらえると言う事の素晴らしさ
にまず泣けるんです。(と言うか、題名からしてそっち系ですよね)

外人相手に説教臭くも、真っ直ぐの物言いをするイメージのテリー伊藤は、
温厚で、自分の目の事も冗談を交えて子供達に話すような、いい教師になっていました。
ボソボソと話して時々聞き取りにくかったんですが、逆にリアルでいいかなと思ったり。

82分という短い映画でしたが、家族愛・敬愛がしっかり描かれており涙を流す場面も
「悲しいから泣くー」とか「可哀想だから泣くー」とか酷い状況だから涙が出るわけではなくて
逆に清々しい気分で涙が出てくるという、とても気持ちのいい映画。

ラストでは、こうきたら、絶対にアレが来るだろうなと思って待ち受けると
本当に来た、涙の大波シーン。やっぱり来たか、そうだよね。ここではそれしかないよねと素直に大泣き。

デロデロに剥がれた化粧をエンドロールの最中に必死になってなおしながら
今まで出会った多くの先生への恩を思い出す、いい映画でした。

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