2006年 1月31日 「TORI (トーリ)」 「ソラノ」 二本立て
名古屋シネマテーク


俳優の浅野忠信が初監督をしたオムニバス映画、TORIを観て来ました。
45分の短い作品は5つの物語で構成されています。

@鳥のアニメーション「BIRD」
Aサムライ時代劇「心の刀」
Bグラフティアートのドキュメンタリー「ATO」
C昭和のいる・こいるのストーリー「続く二人」
D海と空とバレエの融合「or」

鳥のアニメーションは書きなぐられたクレヨン画が自由自在にスクリーンを飛びまくります。
良くある感じで、何か意図があるんだろうな、と思うのですが・・・それ以上でも以下でもありませんでした。
イメージでは、VISAカードのホログラムの鳥がブンブン飛び回ってる感じです。

サムライ時代劇も、真冬の山奥で、肌を露出した衣装を着て寒いだろうに・・と心配したくらいで
ストーリーは私が凡人すぎてあまり理解が出来ませんでした。
どうやら、ほとんど演出も脚本も決まっていないらしく、どう演じるかはキャストまかせのようで、
観客にも、どうぞ自由に感じ取ってくださいと投げてくる浅野監督。
うーん、ある意味ストーリーにとらわれてはいけないのかも・・・すごく高度です。クラクラします

昭和のいる・こいる師匠のBは、普通に舞台上で繰り広げられる漫才を15分程淡々と流し、終了。
コント的な事は北野映画でもありますが、浅野監督のコレは映画のネタとして全く作用しておらず
映画であることを忘れてしまったくらいです。 
あ、昭和のいる・こいる師匠の漫才はすごく面白かったですよ。

何でこうなったのかな、と考えた結果は「監督のやりたい事が確立されていないんじゃないか」と言う事。
なんとなく、こんな感じ・・・と構想はあったかもしれませんが、音楽にしても映像技術にしても
周りを固めるスタッフが一流なので、手取り足取り浅野さんをサポートしているのが丸見え。
まだ監督はちょっと早かったかな?という感じです。
浅野さんは映画ではなく、絵画を描いたほうがいいものが出来そうな気がします。
天職は俳優だと思いますが。


また同時上映の「ソラノ」ですが、これは「TORI」の製作過程と一流スタッフの紹介をしつつ、
精神科医の名越さんという方が浅野監督やキャストの内面を分析していくドキュメンタリーです。

精神科医は、このシーンは深い!的な事を繰り返し言うのですが、いい訳ビデオのように見えてしまって
「ソラノ」は見ない方が良かったかなぁ・・・というのが素直な感想です。
もちろん、私とは思考構造がカッコ良く違うであろうクリエーターの方々は
全く違う意見が出てくるんでしょうね。

クリエーターかぁ・・・

雨にも負けず 風にも負けず
雪と夏の暑さには負けるひょろっとした体を持ち
欲は適度にあり 時々凹み
いつも静かに笑っている
一日にコンビニおにぎりと コーヒーと少しの野菜を食べ
あらゆることを自分のデジカメに納め
よく見 聞きし 分かり そして忘れず
都会のビルの 観葉植物の蔭の 小さなデスクのそばにいて
東に病気の子供あれば 行ってクリエイトしてやり
西に疲れた母あれば 行って台所をデザインしてやり
南に死にそうな人あれば 行って創造の世界で人間は死なないと言い
北に喧嘩や訴訟があれば つまらないから止めろと和解をクリエイトし
日照りのときは賑やかな帽子をかぶり 寒さの日はカラフルなマフラーを巻き
合コンでは「クリエーター?かっこいい〜」と言われ
ほめられたと思ったら やり直しだと資料を打ち付けられる

そんな脳に 私もなりたい。

・・・と言うわけで、全くもってダメダメ映画だったように聞こえてしまうかも知れませんが、
物を作る、創造する楽しさはかなり伝わってきたので、そういう意味ではとても良い映画でした。
クリエーター系の専門学校なんかで上映すると凄く創作意欲が沸くんじゃないかなーなんて、
私、たまにはいい事言うわぁ〜と自己満足しちゃいましたよ。あはは。


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