2005年11月18日「春の雪」
TOHOシネマズ名古屋ベイシティ

夜風に当たりつつ、何か面白そうな映画はないかなと、「春の雪」を観て来ました。
三島由紀夫文学の中でも最高のラブストーリーと言われる作品を『世界の中心で愛をさけぶ』の行定勲が監督し、
イケメンの代名詞になりつつある妻夫木聡と、誰からも好かれている(気がする)竹内結子が主演した映画です。

ため息の出るような美しい映像の中で繰り広げられる悲恋劇。
恥ずかしながら原作は読んでおらず、大正時代初期の上流階級のおぼっちゃまんくんと、
お嬢様の叶わぬ恋を「わがままだなぁ、もっと素直になればいいのになぁ」と突っ込みながら見る始末。
それでも、お話の美しさはなんとなく分り、原作を読んでみたいと思いました。

しかし、いい話だなぁと思いつつも、どうもこの二人の「あんたしか居ないのよ愛」が伝わりません。
ダメだと思いつつも密会を重ねなければならないほど愛し合う二人。どうにも止まらない愛が伝わってこない。
竹内の裸がNGなのはしょうがないにしても、視線や表情のカット割りでも工夫して、
なんとかもう少し強調して欲しかったです。

そんな中、目を疑ったのは濡れ場のワンシーン。
着物姿で座る竹内に近づく妻夫木は上半身裸でズボンを履いている。
シャツを脱いでいるはずなのに彼の胸板にひょろりと乗るサスペンダー。
変態的におかしい。(と、思うのは私だけ?)
無性に可笑しくてしょうがないです。しかし周りの人はもちろん真剣で、もう笑いを堪えるのに汗だくです。
もしかして「妻夫木の胸板にサスペンダーで女性ファンはイチコロ」とか、そんな思惑ではないですよね?
劇中ではいい雰囲気。(注・「やるぞー」なんて言いません)

さらに、ずーーーっと気になって話に集中出来なかったのは、二人の顔が白すぎるという事。
もう始めから病的に白くて、気持ち悪いです。
なにかこう、「大正時代の美しいお話」を強調したいのかも知れませんが、ちょっとキツすぎる演出じゃないかと・・・。
いい文学作品なのですが、残念ながら私の中では「雪見大福物語」となってしまいました。

セットや情景、大正貴族の衣装はとっても素敵でしたよ。