2005年11月 10日 「TAKESHIS'」 ※全体的にネタバレです
TOHOシネマズ名古屋ベイシティ

『お金返して映画』だと 評判の悪い「TAKESHIS'」を見てきました。
今日はレディースデーだからと出発したのですが、カウンターで「レディースデーは昨日です。」と言われ
その場に倒れ込みそうになりました。(信じていたものが崩れ去る時はこんな気持ちかな。)

問題の映画は、大物役者のビートたけしがコンビニバイトで生計を立てる三流役者の北野武と出会い
現実なのか夢なのか、場面が飛びまくる・・なんとも不思議な映画です。

覚悟して見たせいか、意外と面白い。
「色々映画を見ているから、インテリぶって面白いなんて言うんじゃないの?」と思われてしまうと辛いのですが・・。

まず、時間軸がズレていようが、登場人物が何役こなそうが全く苦にならない。
知り合いが変な事を言ったり、気にしていた出来事が出てくる夢を見たことがあれば、
この映画は夢の話なんだなって、なんとなく分り始めると思います。

いきなり場面が変わったら、何も考えずにその場面を楽しめばいいし、
気楽に、映画の時間軸に身を任せていればいいなんて、もう楽で仕方ない。
そのうちに場面が変わることにワクワクして、気がつくと前に見た場面の記憶が重なり合って
少しずつ意味が理解できるんです。(いまだに分らない部分もありますが)

また、時折見せる北野風味が凄く面白い。もう監督の自己満足の域だと思いますが楽しめたのは確かです。
でも、それは私が北野風味が好きだからかも知れません。(汗

冒頭の戦場シーンでは「戦場のメリークリスマス」、砂浜の決闘シーンでは「座頭市」を、
時々出てくる豚二人組みの抜けた笑いは「Dolls」のお面ふんどしを感じさせます。
時間軸が繋がっていないので、ふと前作の映画のシーンまで思い出してしまい、
昔の北野映画は見ていないのも多いので、他にもリンクしているイメージがあるかもと思ったり・・。
これは監督の計算されたところなのでしょうか。

実際に監督が経験したエピソードなのかな?と思わせるシーンもありますし、
三流役者、北野武の終始うつむいた表情は、普段TVでふとした時に見せる顔であり
いきなり登場する役者達を見ても、あまり違和感が無くて普通にこんな夢を見ているんだろうなと言う感じです。

じゃあ、この映画オススメなのか?と聞かれると困りますが・・正直、オススメは出来ないです。
「ピカソの抽象的な絵が心から好きだと思うか?説明してくれ」と言われているような感じ。
たぶん「ストーリーは北野監督の断片的な夢の羅列で、面白いけど映画じゃない。
北野監督の遊び心が好きなら楽しめるよ」と答えると思います。

つまらなかったぞ!と言われれば、「ストーリーがむちゃくちゃだから、考える必要なかったですよね。
つながりが無いから好きなシーンだけ覚えていればいい。その点ではいいですよね。」と弁護します。

私は好きですよ。いつもは絶対買わないプログラム(言い方が古い)を買ってしまったぐらいです。
(面白かったから、と言うよりは、監督の構想なんかを読みたかったのですが。)
ふと、映写室の中で北野監督が色々な意味でニヤニヤしている姿を想像してしまいます。

と言うわけで、複雑で頭がぶわぶわするけどそれでもいいよっ  青虫にょろにょろ!



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